男性の4人に1人、女性の6人に1人程度が生涯結婚することなく過ごし、またこの傾向は今後さらに加速していくものと思われる現在においては、「兄弟姉妹もいないし子どももいないので、最終的には自分1人になるのだ」という人も少なくないのではないでしょうか。
このような場合は、息を引き取った後の「最後の居場所」はどこになるのでしょうか?
ここでは、「子どもなし、自分1人のときの『最期の居場所』の選択肢」について解説していきます。
独身、身寄りなし。亡くなった後はどうなるのか?
「兄弟姉妹はいない一人っ子で、両親も亡くなっている。子どももいない」……生涯未婚率が高くなり、少子化も進んだ今、このような状況にある人も少なくないのではないでしょうか。
このようなケースで亡くなった場合は、その後どうなるかをまずは紹介します。
親族が引き取る
「自分自身の直系の肉親はいないものの、親族がいる」という場合は、この親族に連絡をして葬儀~火葬~収骨~納骨が行われることになるでしょう。「非常に縁が遠く付き合いもなかったが、感情的なあつれきがあったわけはないので、最低限のことはする」という人がいる場合は、このようなやり方が取られることになるかと思われます。
完全に身よりなし、頼る相手がいない場合は自治体が世話をする
「完全に一人で生きてきたから、親族がいるかどうかもわからない」「天涯孤独で、頼れる相手もいない」「そもそも周りの人も亡くなっている」「親族はいるが、引き取りは拒否された」などの場合は、自治体がそのご遺骨を引き取ることになります。詳しくは後述しますが、この場合は個別のお墓には入れません。ほかの人のご遺骨と一緒に、合葬墓に埋葬されることになります。
一人きりのときの「最期の場所の選択肢」
これを踏まえたうえで、一人きりの人の最期の居場所の選択肢について見ていきましょう。
・自然葬
・永代供養つきのお墓
・すでにある本家の墓にいれてもらう
・合葬
なお、上記で挙げた「完全に一人きりで、親戚すらまったくいない」という場合は必然的に合葬となるかと思われます。そのため、下記では特筆すべき事情がない限りは、「身よりはないが、埋葬場所を準備していたり埋葬方法を指定したりしていれば、最低限納骨をしてくれる相手はいる。ただその人たちにも迷惑はかけたくないので、できるだけ今の間に用意しておきたい」という場合を想定していきます。
自然葬
自然葬とは、文字通り自然に還る埋葬方法をいいます。現在の自然葬は、大きく分けて「樹木葬」と「海洋散骨」の2つです。
前者は、木々が生い茂るなかで眠ることのできる形式です。個別埋葬期間を設けているところも多く見られますが、初めからほかの人と一緒に眠ることもできます。墓石の購入を必要としないうえに生前購入もできるので、残していく人に負担をかけにくい形式です。
後者は、海にご遺骨を撒く方法をいいます。この方法の場合も当然墓石を必要としません。ご遺骨が残らないので残していく人に負担もかかりません。比較的、費用を抑えて依頼することができます。
永代供養つきのお墓
「〇年間は個別埋葬されるが,ある程度の年数(13年や33年が多い)が経ったら合葬にされる」というかたちの埋葬方法です。
「亡くなって最初の数年間くらいは、1人で眠りたい」「姪っ子のうちの1人とは極めて仲が良いが、彼女がいなくなれば面倒を見る人もいなくなる」という場合は、この方法を選ぶとよいでしょう。
このかたちは、「仲の良かった人にはしっかりとお別れができるし、その必要がなくなった後には合葬されるため無縁仏にならない」というメリットがあります。
すでにある本家の墓に入れてもらう
「自分自身は独身だが、分家の人間で本家にお墓がある」という場合は、本家のお墓に入れてもらうのもよいでしょう。
「親族とはそれほど付き合いが深いわけではないが、最低限のやりとりはしている。また、墓には十分なスペースの余裕があり、両親もそこでお世話になっている」などの場合は、交渉もしやすいかと思われます。
合葬
上でも述べた通り、「一人きり」の人の場合は、合葬も視野に入れるべきでしょう。
合葬とは、まったくの他人のご遺骨と一緒になって、シンボルとなる木や墓石の下で眠る形式です。引き取り手がまったく現れなかった場合は必然的にこのかたちになりますが、引き取り手がいる場合でもこのかたちを選ぶことはもちろん可能です。
「ほとんど付き合いのなかった親族が亡くなったからご遺骨を引き取ったが、できるだけ埋葬費用をかけたくない」と考えるご親族にとっても有用な方法ですし、「できるだけ周りの人に迷惑を掛けたくない」と考える人にとっても、この「合葬」は魅力的な選択肢となるでしょう。
まとめ
少子高齢化が進み、生涯独身で過ごす人が多くなった今、「自分が息を引き取った後の場所」について考えることは非常に重要だといえます。
日本では引き取り手がなかった場合、最終的には自治体が「合葬」というかたちで弔ってくれます。ただ、「葬儀と納骨くらいはしてくれそうな親族がいる」という場合は彼らに迷惑がかからないような算段をしておくことが望ましいといえます。
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