後継者がいなくても安心な「永代供養」という選択肢は、近年非常に多くの人々の注目を集めるようになったものです。ただ、キリスト教の方にとって、キリスト教で永代供養をしてくれる墓所はそう多くはありません。
今回は「日本でキリスト教を信じる人にとって、永代供養は選択肢になりうるか」について考えていきます。
永代供養とは、霊園側がずっと世話をしてくれる形式の埋葬方法をいう
「永代供養とキリスト教」を述べる前にまず、「そもそも永代供養とは何か」を簡単に説明しましょう。
永代供養とは、祭祀継承者がいなくなっても、霊園側がお墓の管理をしていってくれる埋葬形態のことをいいます。お子さんがいなかったり、いても遠くに住んでいたりする人にとって有用な選択肢のうちのひとつであるとともに、「子どもとは仲がいいが、自分の最後のことまで自分で行いたい」という人にも向いています。また、従来の「家族で入るお墓」ではない形式も選べるため、「自分はキリスト教の信者だが、子どもは仏教徒である」という場合にも選択肢のひとつになるといえるでしょう。
なお永代供養の場合は、「合葬」というかたちをとる場合があるという点に気をつけましょう。
合葬とは、他のご遺骨と一緒になり、お墓の下に眠る形式です。初めから合葬を選ぶこともできますが、「〇年間は個別埋葬で、その後、合葬に」というやり方を取ることもできます。また、数は少ないものの、「永代供養でありながら、合葬されない形式」のタイプもあります。
※本来「供養」は仏教用語に分類されるため、キリスト教の話をするときにはふさわしい単語とはいえません。ただ現在は「永代供養」という一つの言葉で使われることが多いため、本稿でもこれに従って記事を展開していきます。
キリスト教の信者が日本で永代供養を受けようとするならば……その選択肢
それでは、キリスト教の信者が日本で永代供養のスタイルで眠ろうとした場合、どのような選択肢が取れるのでしょうか。
1.「生前の宗教は問わない」としている寺院墓地も視野に入れる
2.公営の墓地を利用する。もしくは「生前の宗教は問わない」としている民間墓地を利用する
3.樹木葬や海洋葬などを利用する
4.キリスト教専用の区画がある墓地を利用する
5.教会墓地を利用する それぞれ見ていきましょう。
1.「生前の宗教は問わない」としている寺院墓地も視野に入れる
現在は寺院が運営する墓地のなかにも、「生前の宗教宗派を問わない」としているところがあります。ここまでを視野に入れられるのであれば、墓地選びに苦慮することはありません。 ただしこの場合、「生前の宗教宗派は問わないが、それ以降の『供養』は管理する仏教の宗派の方式で行う」とされているケースが多いため、キリスト教への帰属意識が高い人は注意が必要です。
2.公営の墓地を利用するもしくは「生前の宗教は問わない」としている民間墓地を利用する
公営の墓地は、宗教・宗派を問わずに埋葬できます。また民間墓地の多くも、「生前の宗教は問わない」としています。このあたりまで許容できるのであれば、墓地選びに苦慮する可能性はほとんどありません。
このタイプの霊園の場合、ご僧侶による毎朝毎夕の読経は行われないことが一般的で、追善行事のときには自分たちで牧師さま/神父さまにお願いするかたちをとることになります。
また、「すぐ横の人が、仏教のお墓の形式で眠っている」などの状態になることは覚悟しておくべきでしょう。
3.樹木葬霊園や海洋葬などを利用する
「ほかの宗教・宗派の人と一緒に眠るのはちょっと……」という場合は、樹木葬や海洋葬などの自然葬を選びましょう。樹木のなかには寺院が管理しているところもありますが、多くのところが「生前の宗教宗派を問わない」とされています。また海洋葬であれば、ほかの宗教・宗派の人と一緒になることはないと言えます。
ただ自然葬の場合は、「墓碑」「手を合わせる対象」がはっきりしないというデメリットがあります(※樹木葬の場合は小さなプレートを置くことができる場合もあります)。
4.キリスト教専用の区画がある墓地を利用する
数は少ないものの、霊園のなかにクリスチャン専用の区画がある墓地も存在します。
これを選べば、隣の人が異なる宗教・宗派であるという事態に陥ることは避けられますし、十字架などを用いた「クリスチャンのお墓」を建てることもできます。
ただ、この方法は非常に限定的です。場合によっては近場での埋葬が難しく、遠いところまで足を運ばなければならないでしょう。
5.教会墓地を利用する
もっとも厳格に「クリスチャンとして眠りたい」ということであれば、教会墓地を選ぶことになるでしょう。
ただこの場合は、協会に所属することが求められるものと考えてください。
また選択肢はそれほど多くはありませんし、実際に足を運んだり資料を取り寄せたりしないと実態が見えにくいところもあります。
まとめ
日本のキリスト教信者は、仏教などに比べて少ないといえますが、選択肢こそ限られるものの、キリスト教信者でも永代供養が選べるようになっています。
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